Luccica(ルチカ)1月号に掲載されました。
仙台のフリーペーパー「Luccica(ルチカ)」1月号に、ストーリーウェディング監修の
ウェディングストーリー「Share Happiness~あなとのココロに花束を」が
掲載されました。
ウェディングにまつわる、心温まる幸せストーリー。
今回は「笑顔のままで」と題して、母親の娘にたいしてのかけがえのない
愛情を綴っています。
是非ご覧ください!
「笑顔のままで」
今でも忘れられない結婚式がある。
始まりは、担当していた新婦さんからのお願い。
「お母さんを、結婚式に出席させてほしいんです」
聞けば、お母さまは末期のガンで余命2ヶ月。式は1カ月後。
本当にできるのか・・・不安が大きくのしかかる。
ウェディングプランナーとして、わたしは覚悟を決めた。
「お母さまが楽しみにしていた花嫁姿、絶対に見ていただきましょう」
主治医の先生は、当日の付き添いを条件にサポートを約束してくれた。
ただ、歩くこともままならないお母さまが果たして当日出席できるのか・・・
当日式場の玄関に現れたのは、主治医が押す車椅子の上で、
留袖に身を包み、美しく化粧をした笑顔のお母さま。
失礼かもしれないが、病院でお会いした方とは、まるで別人のよう。
「特別扱いしないでほしい」との強い希望に応えて用意した
他の出席者と同じすべての料理を、食事すらつらい状態なのに
ひとくちひとくち味わうその姿から、娘への愛情が伝わってくる。
披露宴も終盤。
ある音楽が流れ出した途端、新婦の目に涙があふれた。
それは新婦が幼い頃から大好きだった歌。
「あの子が好きな歌を歌ってあげたい」
それはお母さまから新婦へのサプライズプレゼント。
会場に響くお母さまの、その歌声に、会場中が驚きに包まれた。
なんと力強く、美しく、そして、やさしい歌声。
歌うお母さまの車椅子に、最初に寄り添ったのは新婦。
すると新郎、ご家族、ご親戚、そして会場の全員が、
次々にお母さまを囲み、気づけば大きな輪が。
思わずわたしが加わると、他のスタッフも、
強面の料理長までも加わっている。
会場中がひとつの輪になり、大合唱。
その中心には、笑顔のお母さま。
会場中を包む母親の愛情に誰もが涙している。
プランナーとして堪えようと思った涙がとめどなく溢れてきた。
ウェディングプランナーとしては失格だったけれど、
プランナー人生で最も思い出深い結婚式。
結婚式から2ヵ月後に行われた葬儀の祭壇。
そこには大勢の人に囲まれてマイクを握る、
あの時の笑顔のままのお母さま・・・