Luccica(ルチカ)2月号に掲載されました。

仙台のフリーペーパー「Luccica(ルチカ)」2月号に、ストーリーウェディング監修の

ウェディングストーリー「Share Happiness~あなとのココロに花束を」が

掲載されました。

 

ウェディングにまつわる、心温まる幸せストーリー。

今回は「家族」と題して、新婦の父親の複雑な心境を綴っています。

 

是非ご覧ください!

 

 

ルチカ01

 

「家族」

 

わかっていたの、お父さんとお母さんはきっと反対するって。

 

厳しくて真面目なサラリーマンのお父さん。

外見は“イマドキ”で、ちょっと“ワケあり”な彼。

 

でもお父さんと同じで、根っこは真面目で情にあつい人なの。

わたしや仲間を自分より大切にする彼に、

ついていきたいと思ったの。

 

頑張って伝えたら、「勝手にしなさい」と、一言。

 

一人娘のわたしを、お父さんは誰よりも心配してくれている。

許してはくれたけど、喜んでもらえないことが悲しかった。

 

結婚式を挙げないことにしたわたしたちのために、

仲間たちがパーティーを開いてくれることになった。

お父さんとお母さんにも出席してほしい。

何度も何度もお願いをしたわたしたちに、二人は渋々頷いた。

 

当日祝福してくれたのは、彼とわたしの大勢の仲間たち。

用意してくれた凝った演出に、楽しくて嬉しくて、泣いて、笑った。

 

盛り上がる会場で、終始不機嫌顔のお父さん。

パーティーの終盤、彼の親友が、そんなお父さんにマイクを向けた。

 

「お父さん、最後に、二人に一言、お願いします」

 

たちまち緊張して、動機が激しくなる。

こわばったわたしの手を、そっと彼が握ってくれた。

 

お父さんの厳しい顔は少し赤くて、

なんとなく眼が潤んでいる気がする。

あんまりお酒、強くないからかな。

 

「―こんなに祝福してくれる素敵な仲間が、たくさんいるんだね」

静まり返った会場に、お父さんの声が、優しく響いた。

 

「来週、二人で家に遊びに来なさい。

   一緒に飲めるように、いい酒を用意しておくから」

 

会場中が、仲間たちの拍手と歓声に包まれる。

彼が、ぎゅっとわたしの手を握って、「はい」と言った。

 

「これから、どうかよろしくお願いします」

 

彼の力強い声に、お父さんとお母さんが微笑んでくれた。

ようやく、家族になれた。

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